映画「うりずんの雨」

ジャン ユンカーマン監督の映画「うりずんの雨」を岩波ホールで観た。二時間半の大作。沖縄について知識として分かったつもりになっていたことが、映像と証言を突きつけられて、根底から揺すぶられた思いだ。腐敗した日本兵の死体を踏んでしまった体験を語る元アメリカ軍人の証言があったが、その時の感覚を七十年後の今も忘れられずにいる。衝撃だった。そして「アメリカは沖縄を戦利品として扱った」と言うナレーションが耳にこびりついて離れない。 映画の後、浅草公会堂で開催されていた「五十余名の証言で知る沖縄戦展」に足を伸ばす。集団自決に触れた証言が数多くあった。また、良心的な軍人はいたにせよ、日本軍が組織的に沖縄住民を守る意思を持たなかったことを改めて認識した。投降より自決を選ぶ住民が多くいたと言う事実に国家主導の教育の怖さを感じた。これらの証言が、教育の場で公開され、若い世代に継承され、国民的な記憶として共有されることを心から願う。